チーム医療

連携の力で生まれる、信頼と安心の医療

各分野の専門スタッフが知恵と経験を持ち寄り、
確かな医療を実現します。

チーム医療とは

病院は、病める人を社会復帰させることを目的とし、医師をはじめとする多くの職員の連携と協力による「チーム医療」に取り組んでいます。医局・看護部・リハビリテーション部・薬剤科・栄養管理部・地域連携室・臨床検査科・放射線科・医療機器管理科・事務局などで働いている専門職種がチームを組んで、それぞれの専門分野での経験や知識、技術を集約して、患者さまに最も適した最新の治療にあたっています。また、適切なアドバイスや必要な情報提供を行って早期社会復帰への手助けをしています。また、長期療養や緩和ケアを目的として入院される患者さまのQOL(生活の質)を上げるための介入も行っています。

なぜチーム医療が必要なのでしょうか

患者さまは個人によって病気の症状にそれぞれ違いがありますが、多くの方が身体的な苦痛と同時に心理的な問題や社会的な問題、精神的な問題を抱えています。例えば病気の再発はしないのか、薬に対する不安や退院後の食事はどうすれば良いのか、運動量はどの程度にすれば良いのか、仕事への復帰に対する不安や家族介護の不安等々抱える問題は様々です。患者さまがつらい症状や問題を乗り越えなければ社会復帰は困難な状況であると言えます。
そこで多職種が関わり情報を共有し、連携を図りながら協力することで、多方面の専門的な立場からの手助けを行うことができます。これによって総合的に効率よくきめ細かい良質な医療を受けることができます。

チーム医療で大切なこと

チーム医療の現場では、関わる専門スタッフが一人ひとりの患者さまの診断と治療方針を理解して今後の目標について話し合い(カンファレンス)を行います。カンファレンスではそれぞれの職種が自分たちの役割を確認し、それをお互いにどのように協力していくかを検討しています。チーム医療においては、目標が明確になっており、それに向かって取り組むことで効率よく支援を進めることができます。また、患者さまご自身やご家族にも目標を理解いただくことが重要です。専門分野からの助言や情報について十分な説明を受け、納得された上で治療にご協力ください。

◎総合カンファレンス◎

当院では『総合カンファレンス』を行っています。『総合カンファレンス』とは、主に治療方針や看護計画、リハビリテーション計画、栄養管理、服薬管理、退院支援等について総合的に各専門職種が協議し、共通の目標と支援方針を明確にする多職種参加型の会議です。患者さまの生活機能の維持・向上と在宅復帰支援・社会復帰支援を目的に各専門職種が連携・協働して適切な医療・ケアを提供するための取り組みのひとつとして全ての病棟で行っています。

◎患者さま・ご家族・多職種参加型カンファレンス◎

入院時カンファレンスや入院中の家族カンファレンス、退院前カンファレンスなど、患者さま・ご家族を交えた多職種のカンファレンスも多数行っています。現在の病状や治療方針の説明だけではなく、各専門職種が患者さま・ご家族の思いを聞き、今後の目標と支援方針などを認識一致する場として設けています。

チーム医療における専門職の役割

医師(Dr) 医師(Dr)
診断と治療方針を決定し自ら治療に臨み、チーム全体へ適切な指示を出します。患者さまやご家族へ同意を得たうえでの治療導入、処方を行い、治療効果を評価します。各部門とのコミュニケーションを図り、各職種がチーム医療を円滑に行うための環境を整える役割を担います。
看護職(Ns) 看護職(Ns)
看護職の業務は、「保健師助産師看護師法」で規定されています。看護職は、患者さまやご家族が不満や悩みを打ち明けられる最も身近な存在です。チームの要として、患者さまの背景を理解し患者さまの身体的苦痛、精神的苦痛、社会的(経済的)、心理的な問題を捉える努力をします。また、医師からの説明に十分なご理解が得られているのかなど確認する必要があり、不十分な場合は補足説明を行うこともあります。患者さまやご家族からのメッセージの本質をキャッチして、必要な専門職への橋渡しと調整役を担います。
介護職 介護職(CW)
病院における介護職の役割は、患者さまのケアや看護師のサポートを通して、患者さまが快適な入院生活を送れる環境を整えることです。例えば、入浴・食事・排泄・更衣などの日常生活の介助や、ベッドメイキングなどの環境整備を行います。
理学療法士(PT) 理学療法士(PT)
ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される患者さまに対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援します。
作業療法士(OT) 作業療法士(OT)
身体又は精神に障害のある患者さまに対し、移動や食事・排泄・入浴等の日常生活活動に関するADL(日常生活動作)訓練や、家事・外出等のIADL(手段的日常生活動作)訓練、職業関連活動の訓練、福祉用具の使用や退院後の住環境への適応訓練などを行い、対象者に合わせたその人らしい生活ができるように「こころとからだのリハビリテーション」を提供します。
言語聴覚士(ST) 言語聴覚士(ST)
ことばによるコミュニケーションに問題がある患者さまに対し、自分らしい生活を構築できるよう支援します。また、摂食・嚥下の問題にも対応します。ことばによるコミュニケーションの問題は、脳卒中後の失語症、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
歯科衛生士(DH) 歯科衛生士(DH)
歯・口腔の健康は、「おいしく食べる」、「楽しく会話する」など、健康で生き生きとした生活を送るための基本となります。歯科衛生士は、患者さまの口腔衛生状態の改善や口腔機能の維持・向上を目指した口腔ケアが、術後の回復やQOL(生活の質)の向上につながることから、近年のチーム医療において重要な役割を果たしています。
薬剤師(Ph) 薬剤師(Ph)
医師の処方に基づいて正確に薬を調剤するほか、重複投与や相互作用の確認、副作用のリスク評価などを行い、薬の適正な使用を支援しています。病棟では、医師・看護師など多職種と連携し、患者さまの病態や検査値に応じた薬剤の提案、患者さま・ご家族への服薬指導(薬の正しい使用方法や効果、副作用に関する注意点などを説明したり、薬に関する悩みや不安を聞くこと)、副作用の早期発見の対応などを通じて、有効かつ安全な薬物治療が行えるようサポートしています。
管理栄養士(DT) 管理栄養士(DT)
患者さまの栄養状態の評価や個別の栄養管理を行い、治療効果の向上や早期回復を支援します。医師や看護師、リハビリ、薬剤師など多職種と連携し、栄養管理計画の立案、実施・モニタリングを行っています。病態や嚥下・咀嚼(飲み込む力・噛む力)に応じた食事の提供や栄養食事指導、NST(栄養サポートチーム)活動を通じて、患者さま一人ひとりに最適な栄養支援を行うことで、医療の質の向上と患者さまの生活支援に貢献する役割を担っています。
医療ソーシャルワーカー 医療ソーシャルワーカー
(MSW、相談員)
患者さまの抱える心理的、社会的、経済的な問題について相談を受け、社会福祉の立場から生活上の課題の解決に向けて支援を行います。例えば、介護保険等の社会保険制度の活用について案内をしたり、ご自宅への退院、施設への退院(入所)、復職・復学といった社会復帰に向け行政や様々な機関、福祉事業所等と連携を図ります。
臨床工学技士(ME) 臨床工学技士(ME)
臨床工学技士は、医療機器の専門医療職です。病院内で、医師・看護師や各種の医療技術者とチームを組んで生命維持装置の操作などを担当していると同時に、医療機器が何時でも安心して使用できるように保守・点検を行っています。
臨床検査技師 臨床検査技師
臨床検査技師の主な業務内容は医師又は歯科医の指示の下に身体の構造や機能に関する様々な生体情報を調べることです。具体的には心電図、肺活量、脳波、超音波検査などの生体検査と、採取した血液、尿や細胞の一部など体から採取した検体を調べる検体検査などがあります。
診療放射線技師 診療放射線技師
診療放射線技師の主な業務内容は医師又は歯科医の指示の下、放射線を人体に照射することです。病院などでX線撮影をはじめとして、CT(コンピューター断層画像)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査、超音波検査、放射性同位元素(RI)の検査、放射線治療といった仕事にたずさわっています。

当院のチーム医療推進の取り組み

  • 入院時カンファレンス(全病棟/患者・家族・多職種参加型カンファレンス)
  • 総合カンファレンス(全病棟/多職種参加型カンファレンス)
  • 栄養サポートチーム(NST委員会/NST回診実施)
  • 褥瘡対策チーム(褥瘡対策委員会/褥瘡回診実施)
  • 身体的拘束最小化チーム(身体拘束最小化委員会/病棟ラウンド実施)
  • 院内感染対策チーム(ICD(インフェクションコントロールドクター)・感染管理認定看護師/ICTラウンド実施)
  • 抗菌薬適正化使用チーム(感染管理認定看護師・抗菌化学療法認定薬剤師/抗菌薬適正使用カンファレンス実施)
  • 転倒転落防止チーム(リハビリテーション科専門医・医療安全管理者要請研修修了看護師)
  • 医療モラルチーム(医療倫理委員会/倫理相談対応)
  • 認知症ケアチーム(認知症サポート医養成研修修了医・認知症看護認定看護師/認知症回診)
  • 口腔ケアサポートチーム(リハビリテーション部歯科衛生士)
  • 心臓リハビリテーションチーム(心臓リハビリテーション指導士)
  • 糖尿病チーム(日本糖尿病学会専門医、日本糖尿病療養指導士)
  • 泌尿器科チーム(日本泌尿器科学会泌尿器科指導医)
    ・・・etc.

参考文献

全日本病院協会 チーム医療
チーム医療推進協議会 チーム医療に関わる職種