ごあいさつ

超高齢社会を迎えた現代、増加の一途をたどる心不全患者への対応は、循環器医療の現場において喫緊の課題であり、その重要性は年々高まっています。

当院の心大血管リハビリテーション「Rehabeat」では、医学的評価に基づく運動療法に加え、患者教育、カウンセリング、疾患管理など、一人ひとりに合わせた包括的なアプローチを長期的に実施してまいります。私たちが目指すのは、退院や日常生活への復帰にとどまらず、病気の再発予防、そしてみなさまが自信を持って人生を再スタートできるよう、力強く支えることです。

多職種による専門チームがみなさまに寄り添い、自分らしい毎日を取り戻すための道のりを、全力でサポートいたします。

Rehabeat 統括医
伊藤 彰彦

心臓リハビリテーションとは?

心臓リハビリテーションとは、心臓に病気を抱えた方の身体的・精神的・社会的状態を改善させ、快適な家庭生活や社会生活へのスムーズな復帰をめざしておこなう総合的活動プログラムです。

心臓リハビリの最大の特徴は、生命予後の改善が期待できること。再発や再入院を防ぎ、心臓病と向き合いながらも安心して暮らし続ける力を育てる、QOL(生活の質)向上を目指した治療です。


心臓リハビリテーションの効果

心不全患者を対象とした調査では、運動療法を受けた方の4年後の生存率は約80%にのぼり、受けなかった方の約40%と比べて、大きな差があることが示されています。適切なリハビリを継続することは、再発や重症化の予防だけでなく、将来への安心にもつながります。

図:RCT による運動療法による心イベント抑制効果
出典:Belardinelli R,et al:Circulation,1999,99,1173-1182

自分らしさを取り戻す - 心リハのチカラ

再発・再入院の予防
心不全や狭心症の再発を防ぎ、安定した体調を維持します
体力と心肺機能の回復
運動に対する耐性が高まり、日常生活が軽やかになります
息切れや疲れやすさの改善
階段や坂道でも「動ける自分」を取り戻せます
生活習慣の見直しと継続サポート
運動・食事・服薬など、毎日の暮らしをリズムよく整えます
経過観察と早期対応
医療スタッフによる定期的なチェックで、変化に気づきやすくなります
不安の軽減と安心感の向上
安心感とともに気分が明るくなり、新しい挑戦への意欲が高まります
社会・家庭へのスムーズな復帰
外出・旅行・仕事など、再び自分らしく動ける日常が実現します

心臓リハビリの対象となる方(保険適応)

年齢を問わず、以下の疾患に該当する方は保険適用となります。心臓リハビリテーションを始めてから150日間が保険適用の対象期間です。

  • 急性心筋梗塞
  • 狭心症
  • 心臓手術後(弁膜症手術や冠動脈バイパス術など)
  • 慢性心不全
  • 大血管疾患(大動脈解離や大動脈瘤など)
  • 末梢動脈閉塞性疾患(足の血流低下がある方)
  • 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)後

リハビートを牽引する専門スタッフ

3名の循環器内科医が在籍

Rehabeat 統括医/循環器内科 伊藤 彰彦
  • 熊本赤十字病院 第二循環器内科 部長
  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医
  • 日本循環器学会専門医
  • 日本高血圧学会専門医
  • 日本心血管インターベンション学会認定医・専門医
  • 埋込型補助人工心臓管理医
  • 日本緩和医療学会緩和医療認定医
  • 心臓リハビリテーション指導士
  • 医学博士
院長補佐/医局長/循環器内科 森上 靖洋
  • 日本循環器学会認定循環器専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本内科学会認定内科医・指導医
  • 植え込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修証
  • 医学博士
リハビリテーション科/循環器内科 藤井 裕己
  • 日本循環器学会認定循環器専門医
  • 日本内科学会認定内科医

心臓リハビリテーション指導士7名在籍

当院には、7名の心臓リハビリテーション指導士が在籍し、専門性の高いサポートを常に提供する体制が整っています。循環器内科の医師3名を中心とした看護師・理学療法士・臨床検査技師・社会福祉士・薬剤師・管理栄養士・臨床工学技士などの多職種が連携し、安心して心臓リハビリに取り組める環境を支えています。


リハビートの継続的なサポート

心臓リハビリテーションは、発症直後から退院後も一生涯に渡って続く、再発予防までを含めた総合的なプログラムです。

当院がサポートする「心臓リハビリ」


当院における心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションの内容は、患者さまお一人おひとり、その日の体の状態や医師の診断によって異なります。

1. 検査

  1. / 11

    体組成測定

    体重だけでは分からない筋肉量や脂肪量、バランスの状態を把握する検査です。心臓リハビリを安全かつ効果的に進めるには、体の状態を正確に知ることが重要です。

  2. / 12

    CPX(心肺運動負荷試験)

    運動の負荷に対する心肺の働きを調べる検査です。これにより、安全におこなう運動療法の強度を決定し、お一人おひとりに合った運動プログラムを作成します。

2. 運動療法

  1. / 21

    メディカルチェック

    リハビリ開始前には毎回、問診や脈拍、血圧測定などをおこない、その日の体調を丁寧に確認します。無理のない運動をおこなうためのステップで、小さな変化も見逃さず安心・安全なリハビリを支えます。

  2. / 22

    ウォームアップ

    心臓リハビリの運動前には、軽い体操やストレッチをおこない身体を温めます。血流を促し筋肉や関節をほぐすことで、運動中のけがや心臓への急な負担を防ぎます。安全にリハビリを進めるための大切な準備です。

  3. / 23

    有酸素運動/レジスタンストレーニング

    CPXの結果に基づく運動プログラムに沿って、エルゴメーターなどを使用した有酸素運動を専門スタッフと一緒に実施します。必要に応じて、レジスタンストレーニングもおこないます。

  4. / 24

    クールダウン

    運動後はクールダウンとストレッチをおこない、呼吸や脈拍、血圧などを確認します。運動による体への負担や変化をチェックし、無理なく安全に継続できるよう心身の状態を整えます。

  5. / 25

    生活習慣の指導

    心疾患の再発予防に向け、各分野の専門スタッフが生活習慣を丁寧に指導します。ご自身の体と病気を理解し、より良い選択と行動につなげていけるようサポートします。


医療関係者のみなさまへ

当院では、入院・通院両方の心臓リハビリテーションを実施しております。患者さまをご紹介いただく場合は、当院の地域連携室にご相談いただき、『心臓リハビリテーション外来』をご予約いただけますようお願いいたします。

ご不明な点やご質問等がございましたら、下記までお問い合わせください。

地域医療連携センター 地域連携室: 096-378-1120(直通)