病院全体で取り組んでいます!
クチタベチームのご紹介
「口から食べる」ことは、生命維持のための栄養・水分補給だけでなく本来的な欲求に基づく行為です。精神面の安定にもつながり、「生きる力」となります。当院では、患者さまに食べる喜びを取り戻していただくとともに、生活の質を向上したいという思いから、病院を挙げて活動しています。
メインスタッフ
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- 口から食べるプロジェクト
マネージングドクター - 呼吸器内科医長
安田 広樹 - 「経口摂取は難しい」と判断された方でも、当院にて多職種でアプローチすることで、口から食べる幸せを取り戻せたことが多くあります。嚥下障害には様々な要因があり、包括的に評価・治療を行うことで、口から食べるをあきらめない医療を目指しています。
- 口から食べるプロジェクト
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- 口から食べるプロジェクト
ディレクターナース - KTSM実技認定者
建山 幸 - 人を良くすると書いて「食」。口から食べるということは、生命の源であり、楽しみでもあります。「おいしい」「嬉しい」の笑顔が、人を幸せにしてくれます。そんな笑顔を守るため、最後まで口から食べるをあきらめないサポートを行います。
- 口から食べるプロジェクト
医師をはじめ、看護師や管理栄養士・セラピストなどのコメディカル、事務スタッフも関わり、それぞれの専門的な視点から患者さまをサポートします。

パンフレットについて
口から食べるプロジェクトのパンフレット(PDF版)をご覧いただけます。当院にて冊子もご用意できますので、お気軽にお申し付けください。
実際どうやっているの?
どうすれば食べられるかを考えて実践します!
口から食べるプロジェクトの主な活動内容
- 「チューブでの栄養摂取」から「口から食べる」へ
- 経管栄養となった方が再び経口摂取へ移行出来るようにサポートする。
- 専門家の細やかな視点を活かしたプラン作成
- 歯科衛生士による口腔ケアやセラピストによる安全な姿勢の提案、食事介助方法、自助具の検討などを行う。
- 多職種からなるチームでのクチタベ回診
- チームで各病棟を訪問し、良いところや改善すべき点を病院全体に発信・共有する。多職種の専門性を生かし、活発に意見を出し合い、改善策を見つける。
- 勉強会の実施
- 勉強会を実施し、知識と技術の向上に取り組む。
看護職・介護職全員に食事介助セミナーを実施。
当院では、大きく分けて次の3つのステップでクチタベを実践しています。
- アセスメント期 「どうすれば安全に食べられるか」を見つけていく段階
- ステップアップ期 「自分で」「普通食を食べられる」に可能な限り近づけていく段階
- トレーニング期 「ご自宅でも食べ続けられるように」定着させていく段階
さらにその中身は細かく分かれており、段階に応じて細やかなサポートを行っています。
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アセスメント期
「どうすれば安全に
食べられるか」を
見つける- アセスメント
- リサーチ
- プランニング
-
ステップアップ期
「自分で」「普通食を食べられる」に
可能な限り近づける- 口から食べるベースづくり
- 段階的な
経口摂取 - 目標達成!
-
トレーニング期
「ご自宅でも食べ続けられるように」
定着させる- リハ・栄養支援
- 退院先の環境調整
引き継ぎ
アセスメント期
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アセスメント期
「どうすれば安全に
食べられるか」を
見つける- アセスメント
- リサーチ
- プランニング
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ステップアップ期
「自分で」「普通食を食べられる」に
可能な限り近づける- 口から食べるベースづくり
- 段階的な
経口摂取 - 目標達成!
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トレーニング期
「ご自宅でも食べ続けられるように」
定着させる- リハ・栄養支援
- 退院先の環境調整
引き継ぎ
①KTバランスチャートとVE・VF検査を用いたアセスメント
現在の患者さまの状態を聞き取り、患者さまやご家族の希望をお聞きします。KT(口から食べる)バランスチャートを使って多職種で包括的に評価します。必要に応じてVE(嚥下内視鏡)検査・VF(嚥下造影)検査などを通して、患者さまが抱えている問題点、飲み込みや咀嚼の状態等を把握します。
- KTバランスチャート
- 患者さまの強みと弱みが一目瞭然!
多職種による包括的評価
- VE検査・VF検査
- 食べられるかどうかではなく
「どうすれば食べられるか?」
KTバランスチャートを用いた包括的評価の例
当院では、NPO法人 口から食べる幸せを守る会理事長小山珠美先生作成のKTバランスチャートを使用して患者さまの状態の評価を行っています。KTバランスチャートでは、食べる意欲や全身状態、摂食状況レベル等、13の項目を1~5点でスコア化します。このチャートを使うことによって、患者さまの強みは何か、患者さまにとってサポートが必要なことは何か、またどの程度のサポートが必要かなどが明らかになります。また、段階的にKTバランスチャートを使用した評価を行うことで、変化を可視化することができます。

KTバランスチャートがweb上で使用出来るようになりました!
PCからはもちろん、スマホ、タブレットからもご利用頂けます。対象者の登録や、支援プランの作成もでき、ベットサイドで使いやすいKTバランスチャートです。
安全に食べられる方法を探るVF・VE検査
必要に応じて、VF検査(嚥下造影検査)VE検査(嚥下内視鏡検査)を行います。「口から食べる」にあたり、器質的・機能的な問題を確認するとともに、どうすれば安全に食べていただくことができるかを探ります。この検査によって、そのときの患者さまに合った食事形態やリクライニング角度等を決定します。
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- VF検査実施医
- 呼吸器内科医長
安田 広樹
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- VE検査実施医
- リハビリテーション科医長
川嵜 真
②「入院前」よりさらに前の「発症前」に遡るリサーチで、患者さま本来のチカラを知り、ゴール設定を考える。
「食べられなくなる前」ではなく、その原因または遠因となる疾患の「発症前」に遡り、当時の患者さまのADLや病歴・生活歴をリサーチし、次に立てる「クチタベプラン」のゴール設定に活かします。
③患者さまの強みを活かし、包括的なアプローチにより「クチタベプラン」をプランニング。
KTバランスチャート13項目の評価に対し、1項目ごとにプランニングして、「クチタベプラン」を作成。
常に患者さまに合った方法で「口から食べる」に向けて実践していきます。

ステップアップ期
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アセスメント期
「どうすれば安全に
食べられるか」を
見つける- アセスメント
- リサーチ
- プランニング
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ステップアップ期
「自分で」「普通食を食べられる」に
可能な限り近づける- 口から食べるベースづくり
- 段階的な
経口摂取 - 目標達成!
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トレーニング期
「ご自宅でも食べ続けられるように」
定着させる- リハ・栄養支援
- 退院先の環境調整
引き継ぎ
①食べられる“口”、食べられる“身体”に。
まずは食べられる基礎をつくりながら、同時に普段の食事での実践を行っていきます。
衛生面や噛み合わせ、唾液の正常な分泌等、口内環境を整えることで食べられる“口”をつくります。口腔ケアや食事前の口内マッサージ等日々のケアに加え、義歯や入れ歯が合っているか、噛み合わせに問題がないか等、歯科衛生士がによるチェックを行い、問題があれば院内の歯科の診察も行います。
また、離床やリハビリにより、食事姿勢が取れる・食事動作ができる、食べられる“身体”づくりを行います。
②クチタベスキルを駆使して、段階的に「クチタベ」へステップアップ。
入院生活のすべてを「口から食べる」につなげながら、毎回のお食事で実践していきます。お食事の時には、「環境調整」「姿勢調整」「食事介助」「食楽援助」の4つのクチタベスキルでアプローチし、食事形態やリクライニング角度、介助の割合、摂取量等を段階的にステップアップしていきます。
クチタベスキル① 環境調整
食事スイッチをONに!
食事のときは、頭の中の食事スイッチをONに保つ必要があります。食事に必要のない刺激を控え、食事を楽しめる刺激を与えることで、集中して食事を楽しんでもらえるようにします。
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テレビを消す -
お膳を見やすく -
香りで感じる -
触れる -
盛り上げる
クチタベスキル② 姿勢調整
食べる姿勢・食べやすい体勢に!
食べる姿勢・食べやすい体勢とは、「しっかり嚥下できる」姿勢のことを言います。足の裏やお尻・腰でしっかりと体重を支えていて、どちらかに傾かないのが良い姿勢。テーブルの高さも大事です。また、ベッドや移乗後の車イスに座ったとき、自分で動けない患者さまは無意識に体勢を整えなおすことができません。服やシーツ、皮膚に生じたずれをきっちり直すことも、良い食事姿勢づくりの一つです。

クチタベスキル③ 食事介助
患者さまの利き手になりきる。
まずは「食事」を意識してもらいます。食べ物を口に運ぶペース、スプーンを口の中に入れる軌道や口に入れる角度、舌にのせる位置など、患者さまの動作を想定しながら介助します。

クチタベスキル④ 食楽支援
訓練を続けるモチベーション「食べたい!」の意欲をサポートする。
嚥下訓練に患者さまの好物を使用しても、ずっと同じだと飽きてしまいます。徐々にバリエーションを増やし、食べる喜びを取り戻していただきます。また、全国の郷土料理をメニューに取り入れた「故郷の味」シリーズや、旬の食材をおいしく効果的に食べる「四季の味」シリーズなど、食べたくなるお食事づくりにも力を入れています。
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四季彩膳 -
故郷の味シリーズ:沖縄県 -
四季の味シリーズ:そら豆 -
バースデーバイキング:4月
③目標達成は通過地点。
クチタベスキルによるステップアップ後、3食経口摂取や自力摂取の目標が実現できたら、今度は退院後も食べ続けられることが目標になります。回復した機能を維持・向上できるようトレーニング期へと移行します。
栄養面からは、活動量の増加に伴い増加した栄養必要量を行います。様子を見ながらさらなる食形態のステップアップを行うことも。
トレーニング期
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アセスメント期
「どうすれば安全に
食べられるか」を
見つける- アセスメント
- リサーチ
- プランニング
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ステップアップ期
「自分で」「普通食を食べられる」に
可能な限り近づける- 口から食べるベースづくり
- 段階的な
経口摂取 - 目標達成!
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トレーニング期
「ご自宅でも食べ続けられるように」
定着させる- リハ・栄養支援
- 退院先の環境調整
引き継ぎ
①リハビリ・栄養支援
リハ支援として、退院後の生活の場で必要な動作獲得をめざし、食事時の耐久性や姿勢の修正、嚥下へのアプローチとして、離床拡大や体幹筋力の強化等を行います。
栄養面からは、活動量の増加に伴い増加した栄養必要量を行います。様子を見ながらさらなる食形態のステップアップを行うことも。
②退院後の環境調整・引き継ぎ
自助具や患者さまに合ったテーブルなどを選定し、退院後も口から食べ続けるために必要な環境を整えます。退院先が自宅であればご家族に、施設であれば施設のスタッフに、食事姿勢の作り方や、介助が必要であれば介助方法等を細かく引き継ぎます。言葉だけでは伝わりづらい部分もあるため、できる限り対面でお伝えできるようにしています。
標準化と質の向上への取り組み
ケアの標準化と質の向上への取り組み
小山珠美先生直伝!「クチタベ」の基礎。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも取り上げられた、「NPO法人 口から食べる幸せを守る会®」理事長の小山珠美先生は、「口から食べる」の第一人者。当院では、小山先生にお越しいただき、指導を受けて「クチタベ」を実践しています。また、KTSM(口から食べる幸せを守る会)セミナーにもたびたび参加し、知識と技術のアップデートに努めています。
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勉強会 小山先生をはじめ、さまざまな分野で活躍する専門職の方を講師にお招きして、知識を広げ、深めるための勉強会を行っています。また、「口から食べる幸せを守る会」の全国大会での発表も行うなど、症例の研究にも力を入れています。
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ラウンド 毎日接している患者さまも、少しの工夫で食べられるようになったり、劇的に変化することがあります。さまざまな症例での指導により、さまざまなケースでの着眼点や実地でしかわからない工夫などを吸収する機会となっています。

技術がなければ、「口から食べる」につながらない。
食事介助に関わる全てのスタッフに「食事介助セミナー」を実施。
食事介助に携わる職種向けに、実際の食事介助をロールプレイングしながらの実技セミナーを実施しており、看護師・介護士は100%のスタッフが研修を受けています。患者さまになりきり、いい介助・悪い介助を体験することで、患者さまにとって「食べやすい食事介助」を考えるきっかけとなり、質の向上につながります。栄養士や言語聴覚士に加え、入院の窓口となるソーシャルワーカーもこの研修を受けています。

クチタベテレビの放映
食べる環境・姿勢・速度・順番など、「口から食べる」において大切な技術を伝える教則ビデオ「クチタベテレビ」。スタッフが空き時間等に見られる場所で放映し、全スタッフに技術を伝えていきます。
クチタベアワードの開催
在宅サービスを含む桜十字の全部門から、「口から食べる」に取り組んだ好例を公募、全エントリーの中からスタッフの投票により「手本となる成功例」を選出。3位までの部門を表彰しました。投票や賞発表の過程は、他部門での症例の情報共有にもつながっています。
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エントリーした取り組みを
スタッフに周知 -
投票により選ばれた3位までの
部門を表彰 -
理事長・院長と
受賞した病棟スタッフで記念撮影
グランプリを受賞した事例のご紹介
- 2016年度
「2年ぶりに見ました!」
南館3階病棟/特殊疾患病棟 - 誤嚥性肺炎で施設と当院の入退院を繰り返していた患者さま。拘縮がありベッド上全介助、お食事は経鼻経管栄養でした。介護計画の中に「自分で口から食べる」という目標を立てて、病棟全体で取り組んだ結果、車いすに座ってしっかり前を向いて自力摂取できるようになりました。
- クチタベチームより
- 「口から食べる」の達成にとどまらず、さらにその先のゴールを設定して、自分で食べられるまで病棟全体でケアに取り組んだ点が得票につながったと思います。
クチタベ入院について
クチタベ入院では、さまざまな「食べたい」「食べてもらいたい」のご相談を承っています。
- 肺炎を起こして以来経管栄養に。口からごはんを食べたい!
- ずっと食べていなかったけど、食べられるようになるかも含めて見てほしい
- 「もう口から食べるのは難しい」と言われた。
- 「胃ろうをつくる」と言われたけど…
- あまり家で食事を食べていないようだ
- 認知症等で食事を食べなくなってきている
「クチタベ入院」の流れ
1相談
- 現在ご入院中の方
-
ご入院の病院のソーシャルワーカー等に
一度ご相談ください。
- ご自宅にいらっしゃる方
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地域医療連携室まで、
「口から食べる」での入院を希望の旨
ご相談ください。地域連携室のソーシャルワーカー・
看護師がご対応します。096-378-1120
主治医の先生に診療情報提供書(患者さまの治療歴などを記した書類です)を依頼します。補足的な情報や現在の状況等をお聞きすることがあります。
2面談
患者さま・ご家族の皆さまの思いやご希望、詳しい情報等をお聞きします。(電話のみも可)ご希望の方には院内をご案内します。
3入院
- 患者さまの治療に関わるスタッフとの顔合わせを行います。
- 入院時の注意事項等をお話しします。
- 検査・評価を行った後、治療計画に沿って治療をスタートします。
「クチタベ入院」ご相談ください。
経管栄養(胃ろうや経鼻栄養)から
経口摂取への移行や改善を目的としたご入院をお受けしています。
地域連携室までご相談ください。
096-378-1120