ご家族から「また食べて欲しい」との思いが寄せられた患者さま(80歳代・女性)がいました。

入院時は経鼻経管栄養で、チューブを抜去してしまう為、

両手にはミトンがはめられていました。

 

早速、入院時の評価の為に口から食べるプロジェクト ディレクターナースの建山が介入します。

ご家族も一緒に見守る中での介入となりました。

 

まずは食べる為のお口づくりに口腔ケアから入ります。

開口を促し、ご自分で歯ブラシを持ってもらいました。

歯を磨いてもらうように声かけをすると、ご自分で磨いてくれました。

磨き残しがないよう、最後に介助にて仕上げを行います。

 

そして食事です。

食事を食べる能力についてはさほど問題なく、

一番の問題点は食思がないことでした。

二口ほど食べると「もういらない」と断られます。

食事形態を上げてみたり、ご自分でスプーンを持ってもらったりと試みましたが、

この日はほんの数口で終了。

 

その後、建山と言語聴覚士による介入が始まりました。

主治医の安田(口から食べるプロジェクトマネジメントドクター)の意向により、

薬剤の変更・ミトン(身体抑制)の解除・離床の促しなどを病棟でも試みました。

認知もあった為、患者さまに寄り添う看護を考えました。

 

それから、毎日建山がお昼の食事介助に入ります。

自力摂取を促す食事介助を行ったところ、

1週間後にはデイルームでご自分でご飯を食べられるようになりました。

介助者がいると食事に集中出来ないようなので近くで言語聴覚士が見守りを行っていました。

手が止まれば少し介助を行い、また自力摂取を促します。

一人になると自分で器を選んで手に取り、数口ずつ食べられます。

言語聴覚士は、

「昔、先生をされていたそうで、本当は何でも介助されるよりご自分でやりたいと思うんですよ」と

患者さまがご自分で食べられる姿を嬉しそうに見つめていました。

 

まだ食事量は十分ではありませんが、補食をつけて1日1200kcalの摂取が可能になったので、

経鼻経腸チューブを抜去しました。これにはご家族も涙を流して喜ばれています。

 

2週間後、まだ援助や促しは必要ですが、食事の半分量を食べれるようになりました!

入院時、1~2口で「もういらない」と言われていた患者さまの姿はそこにはありませんでした。

 

食事の手が止まれば介助して食事を促します。

それでも食べられない時には一度手を止めて、患者さまとお話をします。

少し間を置いて、再度食事を促し食べてもらいます。

1~2口ずつでもご自分のペースで食べてもらうこと、

「いらない」と言われればその時に無理に食べてもらわないこと、

「お昼からリハビリだからしっかりご飯食べて栄養つけましょうね」と

食事の必要性を説明し、理解してもらうこと。

これらの食事介助で、約1カ月後にはほぼ全量のお食事を食べられるようになりました。

 

患者さまとしっかり向き合い、本人の意思を尊重しながら接することの大切さを

目の当たりにした事例でした。

患者さまに寄り添っていけるように、これからも頑張っていきます!