『口から食べるプロジェクト10周年感謝際』を開催しました!
4/24(水)、『口から食べるプロジェクト10周年感謝際』を開催しました。
当日は19:00~という遅い時間からの開催にもかかわらず、熊本県内外から309名もの方にご来場いただき、「口から食べる」介助技術について、多くの方々から注目されていることをうかがえる会となりました。
また、会場には当院も普段からお世話になっている栄養補助食や医療機器のメーカー様に出展いただき、大変な賑わいを見せていました。
口から食べるプロジェクト(クチタベ)とは?
加齢や脳血管障害などにより摂食嚥下障害となった患者さまが「口から食べる」ことを実現させるため、桜十字病院で2014年から開始したプロジェクトです。
2016年~2020年の間に、クチタベ入院件数は145件、3食経口移行件数は103件、在宅復帰件数は84件となり、さらに4人に1人が入院当日に3食経口摂取へ移行することができました。
桜十字の『口から食べるプロジェクト』の詳細は こちら
いよいよ開催!
開会では当病院の倉津院長より、口から食べることによる運動機能や脳において考えられる影響についての話を交え、今回の講演会を記念したご挨拶がありました。
桜十字病院 安田広樹医師による講演
最初に、今回の感謝祭において座長を務めた、本プロジェクトのマネージングドクターである安田医師よる講演を行いました。
桜十字病院においてNST活動を取り入れるきっかけや当病院が行ってきたクチタベ入院での取り組みや成果についての報告がありました。
これまでのクチタベ入院(嚥下リハ入院)では、口から食べると危険と判断された患者さまのうち45%以上もの患者さまが入院当日から経口摂食ができた結果もあり、現在の治療を目的とした『クチタベ嚥下リハ入院』とは別に、新たに『クチタベ嚥下評価入院』を開始することが発表されました。
これにより、治療の一環としてのみ行っていたクチタベが、嚥下摂食障害の原因や口から食べる可能性を探る評価ができるようになり、より多くの方にとって「口から食べる幸せ」に繋がる可能性を感じました。
この評価入院についてはいろいろと活用していただき、地域の在宅ケアの現場からのご要望やご意見をいただきながら、少しすつブラッシュアップしてよいものにしていきたいと話す安田医師。
在宅や地域の方々と一緒にこの評価入院を作り上げていくとともに、当病院だけでなく在宅ケアも含めて、熊本全体を「口から食べる」幸せな地域にしていきたいとの言葉で、講演を締めくくりました。
NPO法人KTSM理事長 小山珠美先生による講演
続いて、特別講演として、NPO法人口から食べる幸せを守る会(KTSM)理事長であられる小山珠美先生にお越しいただきました。
誤嚥性肺炎を避けるために禁食を選択し続ける医療の現状に挑み「できないと思わない、できると信じる」小山先生のゆるぎない信念から、その意思の強さを何度も感じる内容でした。
小山先生の歴史や活動を多くの患者さまの事例からうかがうことができ、小山先生が患者さまとそのご家族にお届けしてきた幸せの尊さを実感しました。
また、KTSMの活動についてもお話いただきました。
患者さまとそのご家族の支援はもちろんですが、最も力を入れていることは人材育成とのことです。
食べる希望が断たれてしまうことを防ぐために、繰り返し実務セミナーを行い、食事介助実務者のスキルアップを図っていらっしゃいます。
特に熊本での開催回数は全国1位ということで、県内の皆さまの「口から食べる」ことへの関心の高さを実感しました。
閉会のご挨拶
最後に、発足時より『口から食べるプロジェクト』を中心となって取り組んでまいりました、師長の建山幸から、閉会のご挨拶をさせていただきました。
小山先生をはじめ、たくさんの方々に支えられた10年間を思い、途中声を震わせるシーンもありました。
ご来場の方々と日頃よりお世話になっている様々な方々への感謝とともに、これからの10年、桜十字病院の役割として、この地域に「口から食べる」技術の伝授をしていく決意を改めて宣言し、病院も施設も一体となり、熊本を”食べられる地域”にしていくためのご支援のお願いで締めくくりました。
なお、建山師長のご挨拶の中でもご紹介がありましたが、今年の『NPO法人口から食べる幸せを守る会全国大会』は、桜十字病院との共催で熊本で開催します。
当日は小山先生をはじめ、全国の著名な先生方の講演もございます。
ぜひご参加いただき、「口から食べる」の今の実情と新しい知識を深めていただけましたらと存じます。
NPO法人口から食べる幸せを守る会 第12回 全国大会開催の詳細・お申込みは こちら