2025年6月、桜十字病院に新たな心臓リハビリテーションの取り組みがスタートしました。
その名も「心大血管リハビリテーション-Rehabeat(リハビート)」。現在は入院中の患者さまを対象にリハビリを実施しており、秋からの外来心臓リハビリやCPX検査の開始に向けて本格始動を目指しています。

『心大血管リハビリテーション - Rehabeat』心臓リハビリテーション室

熊本県の心臓リハビリテーション推進事業

熊本県では2023年より「心臓リハビリテーション推進事業」がスタートし、急性期から慢性期、外来まで切れ目のない心臓リハビリの仕組みづくりが進められています。循環器診療の質を高め、循環器疾患患者が安心して暮らせる地域づくりを目指す取り組みです。
その成果として、外来心臓リハビリの実施率は、2024年3月時点の3.4%から、2025年3月には初期目標の12%を大きく上回る16.3%へと改善。県全体に、心臓リハビリの重要性が広く認識されはじめている証となっています。

Rehabeat Well-being Concept

「リハビート」は、“rehabilitation(回復)”と、“beat(鼓動・リズム・拍動)”をかけ合わせた言葉です。

心臓が刻む一拍一拍は、まさに人生そのもの。その鼓動を整えることは、生きる力を取り戻すことにほかなりません。桜十字では、専門チームがあなたに寄り添い、こころが軽くなり、体が自然と動き出す――そんなポジティブな再スタートをサポートします。

「こころ、はずむ。からだ、ととのう。」この場所から、あなたの“人生のリズム”が再び動きはじめます。

Rehabeat 統括医 伊藤 彰彦 医師からのメッセージ

伊藤彰彦 医師
循環器内科 Rehabeat 統括医

超高齢社会を迎えた現代、心不全患者が年々増加するなか、循環器医療における心臓リハビリの重要性はますます高まっています。こうした状況を受け、この「Rehabeat(リハビート)」プロジェクトをスタートさせました。

リハビートでは、医学的評価に基づく運動療法に加え、患者教育やカウンセリング、疾患管理などを組み合わせた、包括的かつ長期的な支援をめざしています。入院から退院後まで、患者さまが再発を防ぎながら、自信を持って生活を再スタートできるように支えていくことが私たちの目標です。

新たに結成された多職種のチームスタッフが力を合わせ、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、「その人らしい日常」を取り戻すお手伝いをしていきたいと思っています。

桜十字病院 Rehabeatの特徴

心臓リハビリテーション指導士 7名在籍

当院には、統括医の伊藤先生を含む7名の心臓リハビリテーション指導士が在籍しており、これは全国的に見ても非常に珍しく、私たちの大きな強みです。さらに循環器内科の専門医も3名体制で、医学的にも安心できるサポート体制が整っています。
リハビートのスタートにあたっては、看護師、理学療法士、臨床検査技師、臨床工学技士、社会福祉士、薬剤師、管理栄養士といった多職種が新たなチームを結成し、部署の垣根を越えて連携しています。
「よりよい心臓リハビリを届けたい」という思いを胸に、チームメンバーが力を合わせて日々取り組んでいます。

CPXからはじまる、Rehabeatの心リハ環境

心臓リハビリの第一歩となるのが、CPX(心肺運動負荷試験)です。運動中の心拍や呼吸などを測定することで、患者さまそれぞれに最適な運動強度を見極め、安全で効果的なリハビリ計画につなげています。

当院では、一般的なアップライト型エルゴメーターに加えて、熊本県内ではまだ導入例の少ない「リカンベント型エルゴメーター」も完備。背もたれ付きで安定性が高く、腰や膝に負担がかかりにくいため、高齢の方や体力に不安のある方にも安心して使用いただけます。
幅広い患者さまに対応できるこの体制は、リハビートならではの強みのひとつです。

リカンベント型エルゴメーター
HUR(空圧式筋力トレーニングマシン )

CPX検査後のリハビリでは、エルゴメーターでの有酸素運動とトレーニングマシン等によるレジスタンストレーニングを実施します。

この度リハビートでは、高齢者や心疾患のある方でも安全に使える設計が世界中で評価されている、空圧式筋力トレーニングマシン「HUR(フー)」を導入しました。身体機能の回復を支えながら、再発予防や生活の質の向上をめざすトレーニングに適しており、心臓への負担に配慮しながら、日常生活に必要な能力の回復をサポートします。

2025年秋、外来心臓リハビリ・CPX検査のご紹介受付を開始します!

現在は入院患者さまのみを対象としているリハビートですが、今秋より、外来での心臓リハビリテーションおよび心肺運動負荷試験(CPX)などの検査についても、近隣医療機関からのご紹介受付をスタートいたします。それに向けてリハビートでは、入院・通院を問わず、患者さまのQOL(生活の質)向上を幅広く支える体制が整いつつあります。

外来心臓リハビリテーションの開始は、地域の皆さまの健康を支える新たな取り組みの一つです。
今後も、地域医療に貢献できますよう、一人ひとりの患者さまに寄り添ったサポートを続けてまいります。

関連記事:
桜十字病院 心臓リハビリテーションのご紹介